2017年11月リぺ島旅行記③ バンコクからハジャイへ
予想通り、飛行機の中では寝れなかった。
本当に夜間の飛行機移動が大嫌いなのだが、社畜が合間を縫って海外旅行に行くとなると、仕事終わりの夜に出発するほうがだいぶ効率的である。
こんな移動、無職ニートの時だったら絶対しないだろう。
第一の目的地であるバンコクでの乗り換えは、約16時間ほどある。乗り換え時間が長すぎるのではないかと自分でも思ったが、意図的にこの旅程にしたのだ。
もっと効率の良いルートは確かにあった。
マレーシアのランカウイまで飛行機で行き、そこからフェリーでリぺ島へいくルート。
このルートが早くて安く、そして一般的だという。
このマレーシアルートは、私にとっては味気なく感じてしまった。それなりに思い入れのあるバンコクに寄り道をする、これが決め手だった。
また、このルートはタイ南部の町ハジャイも経由できる。ハジャイも1年前バイクで行った街だ
『過去の思い出ツアー』とはいかないまでも、少しだけでいいから、以前行った懐かしの町を経由したかった。
スワンナプーム国際空港に到着すると、
“帰ってきた”
と思った。
地元に帰るより故郷に帰ってきた感が強いのは何故だろうと考えると、やっぱり地元に良い思い出がないのと、海外でタイほど長期で過ごした国はないからだと思う。
トラベル用のSimカードを買って、インターネットをゲットした。
東南アジアのシムカードの取得は簡単ですごい助かる。
タクシーに乗って、
『チットロムに向かってほしい』と告げ、
バンコク市内中心部に向かった。
バンコクは快晴で海水浴日和。
タイ南部、特にリぺ島の天気は今どうなんだろうかと心配した。
バンコクの繁華街であるチットロムについたとき、私はものすごい空腹を感じて、ピンクのカオマンガイを食べに行くことにした。
朝食でたべるカオマンガイは最高においしい。たまに食べるタイ料理って本当においしく感じる。
実は、ピンクのカオマンガイは1年前にも来たことがあったが、当時はかなりの行列をなしていた。朝に来たこともあって、今回は並ばずに食べることができて良かった。
朝食を食べて、じゃあ今から何をしようかと考えても、特にやることがないことに気づいてしまった。
去年バンコクで何日も過ごしたし、それにタイ暑かった(当たり前)
機内で寝てないから眠いし、とにかく動きたくなかったのだ。わざわざ10数時間のトランジットを作ったというのに、これでは本末転倒である。
しかし、タイでは困ったときのタイマッサージがある。それを思い出してタイマッサージを受けることにした。2時間600バーツ(約2000円)ぐらいだっただろうか
タイマッサージは当たり外れがあって、それは運次第となる。
幸い、担当のおばちゃんは“当たり”だった。
眠い中、寝転がって痛きもちいいマッサージを受ける。タイマッサージは安いけど、これほど贅沢なことはないなと、甘くてまずいタイのお茶を飲みながらしみじみ思った。
それからは、バンコクの渋谷ことサイアム、そして伊勢丹でうろうろした。
サブバックなるものをあえて持ってこなかったので、自分へのお土産も兼ねて新しくバッグを買った。
そして日焼け止め。すでに少し焼けてしまったので、速攻で塗りまくった。
いつも激しく働いてるのに、何もしなくてただぼんやりしていていいのか?って思うようになったのは、人として少しはマシになった証のように思う。
カフェでスムージーを飲みながら、そんなことを思いつつ、何か面白いスポットはないかとスマホで調べた。
そこで目を付けたのがルーフトップバー。
ドレスコードがないお手軽なところを見つけた。すぐにBTSというタイの電車に乗り、目的地の最寄り駅のトンローまで向かった。5つ星ホテルのマリオットの最上階にそのルーフトップーバーはあった。
景色はすごくいいしカクテルも安いなんて、バンコクのコスパは相変わらず半端ない。
一人でソファーを占領すれば、贅沢な時間を過ごせる。
黄金の夕日が沈むと、今度は星のような夜景が現れる。
良い雰囲気になってくるものの、それはおひとりさまの私を俄然居づらくさせた。
もちろん一人で来ている人は私だけのようで、逃げるようその場を後にしたのは言うまでもない。
でも、来てよかった。
21時発の飛行機に乗らなければならない私は、ドンムアン空港に向かった。
タイ南部最大の都市ハジャイへ向かう。
空港にあった“牛の屋”とかいう、吉野家の完全丸パクリみたいな牛丼が目に留まり、食べてみることにした。
うーん、割とまずい。それは吉野家のほうが3倍は美味しいと思わせるものだった。タイ料理にすればよかった。
国内線の移動なので、すぐにゲートまでたどり着くことができた。
久々のLCCの移動ということもあり、不安も少々であったが、座席はそんなに狭くない。
身体が大きくない女なら、LCCで十分かもしれない。機内食なんてどこも美味しくないしね。
タイ南部のハジャイへ便はローカル路線。ぱっと見渡しても、日本人は私だけだった。
もしかしたら、外国人すら私一人かもしれない。
1時間半ほどのフライトで到着した。時間は22時30分。
ハジャイはまさかの雨が降っていた。やはり、ベストシーズンではなかったのだろうか。
私はこの時激しく落ち込んだ。やっぱり11月がハイシーズンって嘘だったんだって。
タクシーで市内まで向かおうと思ったが、“夜のタクシーに一人で乗る”という現実に突き付けられる。
なんで計画していたときは大丈夫だと思ったんだろう。一回来たことある街だからと、すっかり油断していたのだ。
一気に不安になって背筋が凍る。一応空港が凱旋しているタクシーのようだが、ハジャイの治安は良いとは言えない。
たまにテロが起こるぐらい、そんなレベルの治安である。軽犯罪も多いのだろう。バンコクよりも人通りも少ないことはわかっていたはずなのに。
周りの人に一緒に乗せてもらおうか…なんて思ったけど、タイ語は話せないし、方向が反対だったら迷惑になるよな。とか思いつつ、結局一人で乗った。
ドライバーは不愛想で、寂しいし怖い。
車窓からみる景色は、暗いし誰もいなかった。
電話しているフリをして『ハジャイ!タクシー!』とか言って、単語だけを連発しつつ目的地に進んだ。
社内ではドライバーと二人っきりだが、こうすることにより、2対1と思わせる戦法である。
バカっぽいし、効果はあるかは知らないけど。
どれぐらい経ったのだろうか、数十分のバカ芝居を続けて中心部のホテルの前に止まった。そこは私が予約していたホテルだった。
お金を差し出して『コップンカー』、そういうと、やっとドライバーはにっこり笑ってくれた。なんだ、良い人じゃないか。
ホテルはこの町で一番高そうなホテルに泊まった。
ただし、部屋はこのレベル。なんだかんだタイの地方都市なんだと思わされる。
ちょっと古いけど値段は高いラブホ、みたいな部屋。
荷物を置いて、夜道をあるいた。12時前だというのに、結構賑やかだ。
そこは、1年ぶりのハジャイ。
1年前はスラタニからハジャイまでバイクできた。それも韓国人と一緒にね。私の青春。
すごく、懐かしいのだ。そして、すごい楽しかった。
なんとなくだけど、街並みも覚えていた。