中国が大好き
結局、紹興市には3泊した私。
今回は、敢えて悪名高い「硬座」を選択した。
硬座といえば、中国の列車の最低ランクの座席だ。
コンパートメントで寝ることができず、運賃も最安のため、客層も良ろしくない。
そんな硬座は、劣悪な環境ゆえに旅人からはひどく嫌われていた。界隈のブロガー達からはこぞって”最悪だったもう乗りたくない”と書かかれてしまうレベルだ。怖いもの見たさが背中を押し、よし乗ってみようと思って購入したのだった。
結論からいうと、硬座の乗り心地は特段悪くはなかった。
多分、硬座の乗り心地は乗車時間によって変わってくるものだろう。
私の乗車時間は二時間ほどだ。地元民との触れ合いと人間観察に講じているとあっという間についてしまう。
よくよく思い返すと、界隈のブロガーたちは深夜の長距離移動をしていた気がする。だから辛い旅になるのだと思う。
深夜で長時間の列車に乗るわけでもなければ、日本の電車と快適さは変わらない。日本の電車でも、長距離で一夜明かすとなると地獄ではないだろうか。
あまり言いすぎると在日とかなんとか言われてしまうので、一つ日本の電車が優っている点をあげると、やっぱり客層の良さだろう。
硬座の中国人はとにかくひどい。ゴミで社内は滅茶苦茶だし、狭い車内で肩ぶつけて突進してくるし、なぜかみんなデカい荷物もって余計にスペースを陣どっている。
しかも無駄にコミュ力が高いのはなんなのだろう(特におっさん)すごい話しかけてくる。もちろん中国語でだ。私が女だからチヤホヤされたとかではなく、あの感じを察するにおっさんはデフォルトであの仕様なんだろう。なぜかやたらとそわそわしてて、加えて酒臭いときてる。紳士とは真逆で正直苦手なタイプだ。
前日に勉強した中国語は不幸にも役立ってしまった。自己紹介ができるとすごい気に入られるのだ。
ただ、みんな根本は優しく人懐っこい。この中国滞在中は日本人だからといって悪くされた経験は一度もなく、みんな優しかった。
性格上、私とは到底かけ離れた人達で、彼らと接するのも今思うと楽しかった。
紹興市の町は、上海や杭州には発展度では劣るが、私の感覚では都会の印象が強い。
杭州と同じように赴きがあってセンスある街並み、としか私の言語力では言い表せないのが悔しい。歴史ある建物もあって居心地は最高だった。
そしてユースホステルもまたオシャレだった。
名前は伏せるが、規模がでかくレストランも併設されていた。
また、ここでもまたおかしな中国人に出会ってしまった。
すれ違う際に
「ウェ~ルカ~ム、チャイナッ!!」
と満面の笑みで言ってくるとち狂ったような青年と出会った。
いや、一度だけなら友好的な良い中国人であるのだが、彼は何度もこれを行う。
しかも、明らかに中国人と分かる人にも
「ウェ~ルカ~ム、チャイナッ!!」
を言い放つので、もしかしてちょっとやばい人なのかなと思ったほどだ。
その歓迎症候群の彼とは幸いにも、同じ部屋ではなくてホッとしていたのだが、二日目に突然はなしかけられてしまった。
彼は英語が全く話せなかったが、どうやら食事に誘っているらしかった。
乗り気ではなかったが、ホステル併設のレストランで一緒に食事をすることにした。
しかし、会話は全くない。なぜなら彼の英語力がものすごい低かったからだ。
翻訳アプリも役に立たず、途中からずっと無言だった。本当に嫌で気まずい時間だった。
この食事で、この旅の目的であった紹興酒をオーダーし飲んでみたのだが、私の口には合わず二口で飲むのをやめてしまった。
お酒が苦手だからしょうがないかと思ったが、ほしかったものが合わなかったショックはでかかった。
この彼は、気まずくなったのか男としての自信がなくなったのかは不明だが、この食事以降、私とすれ違っても話しかけてくることは一度もなかった。
彼もまた、優しそうな人であったのだが、私とは合わなかったんだろう。
紹興市、というか中国は街歩きだけで最高に楽しかった。中国人の行動を眺めるも、町の商店を冷やすかすのも全てが楽しかった。
ドミトリーのメンバーとは一言も話さず終わったが、その頃には中国にも慣れてきていたので一人で十分楽しめた。
魯迅の記念館のようなところにも行ったが、興味は惹かれずにすぐに退散したのだった。授業で習っただけのものに、興味なんて持つわけがなかったのだ。それに私は中国のカニバリズムに引かれただけのただの狂人なのだから。
とにかく、どれも街歩きに勝るものはなかった。
本当に中国には毎日毎日いい意味で裏切られていた。
中国はパクリしかできなくて、そのパクリのクオリティもお粗末で、センスのかけらもない半端な国だと思っていた。
でもそれは一部分で、全体をみれば素晴らしい国であるとわかって良かった。
こういうポジティブで短絡な感想を抱いてしまうのは、私が短期旅行者だからなのだろうか。中国にはいつか長期滞在してみたいな。
こうして、紹興市の滞在後、私は上海にまた戻ったのだった。
私はタイ行きの航空券を紹興滞在中に予約していた。
マレーシアか台湾かインドか、ほかにも候補はあったが、タイの観光ビザを日本で取得していたので、タイへの航空券を買った。
タイは尊敬していた先輩お勧めの国だ(私が本当に馬鹿で誤解してしまってからもう何年も会ってない親友だ…泣)
私は、ヨーロッパはもうすでにフランス、イタリア、オーストリア、ドイツ、チェコには行ったことがあり、いまはもう興味はそれほどわいていない、南米やアフリカは現時点ではどこにいくとかさっぱり考えてない。
私が現時点で興味があるのは、インド、ボルネオ島、台湾、トルコ、ロシアのアジア圏だ。
これから、本当のアジアの旅が始まるのかと思うと、ウキウキする。
初日に泊まったユースホステルに戻ってきた。
ドミで同じ部屋、北京から旅行中のワンちゃん(※犬ではなく人の名前)と仲良くなり、楽しく寝食を共にした
ワンちゃんも旅行者なのに、中国人ということもありリードしてくれた。ショッピングやおいしい食堂など見所に連れて行ってもらった。
最後にワンちゃんに会ったことは、私の中国のイメージをこれでもないぐらいに押し上げたのだった。
「アリガトゴザマス(^^)」ワンちゃんはぎこちない日本語で、3日間一緒にいた私を見送った。
上海浦東空港に向かった。中国東方航空 曼谷 行きに乗るために。
結局、私は中国では全くの稼ぎゼロであった。今現在に比べると、まるでいまパタヤにいる自分とは別人の全うな旅人のようで、過去の自分がなんと羨ましいことか。
でもお金なんかより、大事な良い思い出がここにはある。
中国は大好きだから、いつかまた絶対行くんだ。
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