ゆっきーのローカルを巡る世界一周

元風俗嬢の世界一周。このブログはフィクション

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友達を大切にできない⑤

夏休み直前のテスト期間に、私は彼氏ができた。

 

 

 

 

彼氏は、私が大学生であることは知ってはいたが、風俗嬢であることは知らなかった。

私は隠していた。そしてこれからも隠し続けるつもりでいた。

風俗なんて大学までと決めていた。これはこの仕事を始めたときから決めていたことだ。

そして、えりながいるまでは働こうと思っていた。早くて4年の春、どんなに長くても夏までには辞めようと。

どうせそのうち辞めてしまう仕事なのだから、わざわざ彼に風俗嬢であることを告白するより、ピリオドを迎えるまでこのまま黙っていた方がお互い幸せのように思えた。

 

 

えりなに話すと『その方がいいよ~』と言われた。そのつもりだったから、再確認できて良かった。

そしてえりなは隠すことに協力してあげようかと提案し協力してくれた。すごい頼れる。

 

 

風俗嬢であることを彼氏に隠すことは簡単ではなかった。

一人でも隠せることは隠せるが、もっと簡単に隠そうとするなら友達に協力してもらうこと。

 

彼氏には偽りのバイトを話していた。

そして、常日頃からえりなという存在を彼氏に強調して伝えていた。

そして、『私の親友のえりなに会ってみてよ』って何度か伝えた。

 

偽装工作の為もあるが、えりなは本当に私の自慢だったから、たとえ風俗で働いていなくても紹介したかったのは本当。

 

そして、私達が付き合っていた期間、えりなは何度か会ってくれて助かった。

 

 

 

 

 

夏休み中盤の8月、えりなに海外旅行に誘われた。

 

『ゆっきー、どこか旅行行こうよ。』

『ハワイとか?』

『いや、アジア行こうよ!』

『えー。アジアならヨーロッパ行こうよ。貧しい地域いきたくないよ(失礼)

『アジア行った方がいいって!バックパッカーで旅しようよ!』

『例えばどこ?』

『タイとカンボジアは?アンコールワット見に行こう。』

アンコールワットは見たいけど、地雷とかいまだにあるらしいじゃん。怖すぎ。』

 

結局、えりなに押されてカンボジアベトナムに行くことになった。そしてタイではなくベトナムになった。

 

パンガン島がどうのこうの言ってたから、タイは止めさせた。変なパーティにはえりなとは絶対参加したくなかった。へんてこダンスをえりなに強要させられるのが目に見えているから。一人浮いた存在になりたくない。

 

それを正直に伝えて回避した。

えりなには、自分の気持ちを正直に伝えることができて『NO』と言える。本当に楽だった。

 

それでも、

『パンガンは海がきれいだから~』とか『夕日が~』とか『パーティ以外にも~』とかなんとか言っていた。

私は大泉洋が好きだから、ベトナムに行ってみたいというのもあった。

 

 

 

『来年の春休みはわたし就活だからな~』


『そっか。最低でも
10日間は必要だしね。そうなると来月の9月がベストだなー。』


『学生最後の夏休みなのに、友達とまたどこかいかないの?』


『被れば断るから大丈夫』

 

『そっか。私はいつでもいいよ』

 

 

 

 

『ドミだと1泊数百円だから安いよね』

 

『まって、そんな安い変なところ泊まりたくないんだけど。深夜特急みたいなことしなくていいよ。』

 

『それがいいの!バックパッカーはそうなの!絶対楽しいから』

 

『えぇーまじで…。せっかくお金あるのに』

 

 

計画段階でいろいろ揉めたけど、最終的には、えりなとの旅行なら別に何でもいいやと思った。

 

 

 

 

そして9月、初めてのバックパッカー旅行を私はした。

 

ベトナムカンボジアはめちゃくちゃ楽しかった。アジアとバックパッカーへの偏見が完全に消え去った。

バックパッカーなんて、男と選ばれし屈強な女ぐらいしかできやしないと思っていた。

ローカルご飯だって美味しくないと思ってたしお腹壊さないか心配していた。

 

 

でも、全て問題なかった。むしろ良かった。

そして、やっぱりえりなは最高だった。カンボジアのドミトリーでは色々あったけど、全体をみればかなり楽しかった

 

 

『やばい、バックパッカー楽しい。めっちゃ楽勝だね。』って言いまくってた。

でもアオザイはいらなかったかな…。

 

 

 

私にとってアジアとヨーロッパがつながった瞬間。この時から、世界一周なんてものにも興味が出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

秋になると、就職活動の準備が始まりだした。

とはいっても、本格的に始まりだすのは2月頃からだったし、受験の時とは違って勉強や対策すべきことなんてなかった。

だから暇があれば彼氏かえりなだった。

 

 

 

そして12月、えりなは風俗から足を洗った。もうちょっといようよって誘ったけど、ダメだった。

 

えりなは4月から真面目な社会人になろうとしていた。

やっぱり、年上の先輩なんだなぁって思った。

 

 

 

『えりな、就活難しかった??』

『ゆーて難しくないよ。面接官は客だと思えばいいし。余裕でしょー。』

『ははは()なるほどね』

『面接官の裸をイメージするのは必須ね。これするとほぐれるから大事』

『それはいろいろとヤバいよ…()

(てか客だと思うと勝手に脳内で裸に変換される…)

 

 

『でも大丈夫かな。わたし社会不適合者系の変人じゃん。悟られないか心配。』

『確かにゆっきーは変人でアホだけど大丈夫だよ。演技派が勝つからね。』

 

 

彼氏とえりなの言われたことを参考にして就活をこなした。かなり順調だった。このままだと4月には余裕で終わりそうな勢いだった。

 

 

 

そして3月。

恋愛も就活も依然順調、友人関係も順調。

 

 

と思っていた。

 

 

ある日、彼氏に話したいことがあると言われて会ってみることにした。

もしかして私と別れたいんかな?と思った。

 

 

そして彼の一言。

 

 

 

 

『おまえ風俗やってんだろ?』

 

顔面蒼白だったと思う。頭は全く働かなかったけど間違いなく言い逃れできない状況というのだけは、その時理解できた。

 

でも、私はすぐに泣いてしまって『なんでそんなこと聞くの?』みたいな最後の抵抗のような言葉を言い放った。

 

 

『えりなちゃんから聞いたんだよ全部』

 

 

って言われた。

 

ボロクソに問い詰められるだけでも辛いのに、親友に裏切られたとその時は思っていたから死ぬほどつらかった。

 

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