イポーのアニオタ青年
この部屋の蚊はかなりウザかった。
夜中、顔を刺されて痒くなって起きた。
わたしの記憶が正しければ、人生で初めて顔を蚊に刺された日。
蚊にはよく刺されるタイプだが、顔なんて今まで刺されたことがなかったからビックリした。
私の顔は超絶ブサイクだから、今まで蚊も顔にはよってこなかった。しかし、マレーシアの蚊はなんでかしらないけど顔に刺してきた…。
痒かったけど、かいたら赤くなっちゃうから頑張って我慢していた。
朝起きて、セブンイレブンのカップラーメンを食べてみた。日本でもカップ麺はほとんど食べない私なのに、その日は少しチャレンジしてみようと思った。
普通に辛くてまずかった…。
タイのセブンイレブンに比べると、マレーシアのセブンは品ぞろえが良くない。店内は暗いし冷房も弱い。まるでローカルのスーパーかのようだ。
ここで、お昼ごはん兼用のスナック菓子とかを買った。前から気になっていたミスターポテトとかいうスーパーマリオとプリングルスのパクリみたいなお菓子も買ってみた。
宿をチェックアウトして、タクシーでマレー鉄道タイピン駅まで行く。
当日のチケットが買えるか不安だったが、空席があるようで買うことができた。
列車に乗って数時間。”イポー”に着いた。
マレーシア第3の街だ。結構大きな町なのである。
歩きながら宿探しをする。街なみは大変素晴らしい。古びた建物と新しい建物が絶妙にマッチしてて惚れ惚れする。お洒落な街だなぁと思った。
中心部までは遠くて、歩いてると疲れてしまった。近くに洒落たカフェがあったので入ってみることにした。
プリンとオレンジジュースを頼むと、やけに店員と仲が良い小島よしお顔の青年がこっちにきた。
『日本人ですか?』と流暢な日本語で小島よしお顔の青年は私に語り掛けてきた。
『はい、そうです。日本語うまいですね!』
『ベンキョウしてるので。ここ座ってもいいですか?』
『どうぞどうぞ』
小島よしお顔の青年(名前聞いたけど忘れた)、顔を見るに中華系マレー人のようだ。
『日本に住んでいたのですか?』
『住んでないです。』
『え、じゃあなんで日本語そんな話せるんですか?発音がめっちゃうまいですね』
『アニメが好きだから勉強しました』
すごい!!
アニオタかよ!!
このアニオタの青年は、アニメが好きがこうじて日本語でも見たいと思い、独学で勉強したらしい。
アニオタ界の神。もし自分がマレーシア人だったら、難しい日本語を勉強してまでアニメ見ようとは思わないもん。
やっぱり日本のアニメすごい。本当に最強の文化だと思う。日本に生まれてきてよかった。
『なんのアニメが好きなんですか?』
『NARUTOが好き』
『私もナルト好きです』
さすがナルトだ。外国人は忍者とかそういうの好きだよなぁ。
『ほかは何が好きですか?』
『あとはワンピースです』
ワンピかぁ、少年漫画好き系オタかな?
『けいおんとかは見ますか?』
『知りません。面白いんですか?』
『いや、そんな面白くはないです…』
かわいい萌え系のアニメは見ないのか。
『なんかおススメのアニメありますか?』と尋ねられた。
先ほどの彼の回答から導きだされるおススメすべきアニメ、答えは一つ。
萌え系でなく、外国人が好みそうな特徴的な日本文化、そしてストーリー性あるマンガとは…
『るろうに剣心がおススメです!』
『それ知ってます』
『そうですか…。え~じゃあ進撃の巨人は知ってますよね?』
『知ってます。』
『ですよね。うーんなにがいいかなー』
外国人に漫画をお勧めするのは難しい。だって変なマイナーもの教えるのもよくないだろうし。
迷ってるとアニオタ青年が話しかけてきた。
『あなたはこれから何するんですか?』
『ホテル探します。』
『安くていいホテルいくつか知ってますよ』
『ほんとですか!?』
どうやら手伝ってくれるらしい。うれしい。
早速、マレーシアのこととかイポーの話をしながらホテルに向かった。
そして青年が連れてきてくれたのは5000円のホテル。
ちょっと高いと伝えると、また違うところへ案内してもらった。
今度は3000円のホテルだった。まあ、ちょっと高いけど、長く連れまわすのは申し訳ないからここに決めた。
移動ばかりでもう疲れたし、もうすぐ暗くなる頃だったし。
青年との別れ際に『一緒に写真撮りましょう!』ってセルフィーだして誘ったら
『いや、いいです(笑)』ってふつうに断られた…。よしおマジか…。
断られるとかあんだね…。
ブスとは一緒に撮らない人か、もしくはただ恥ずかしいだけか。
ちょっと恥ずかしそうにしてたから、ただの恥ずかしがりやだと思いたい。
結局、アニオタ青年におススメのアニメ教えるの忘れちゃった。
『今から車で帰ります。』
と言って家に帰っていった。仕事終わりだったアニオタ青年。ありがとう。いい刺激をもらった。もっと話したかったけどね。
いまも英語を勉強してるけど、この青年みたいに語学を楽しんで覚えたほうがいいな。それにしても青年、綺麗な発音だった。
夕ご飯はチキンライス。
150円のそれは美味しかった。マレーシアのチキンライス最高だ。
イポーの町を全然見ることができなかったから、もう2泊か3泊しようと思ったが、私は翌日KLに向かうことにした。クアラルンプールに早く行きたかったのだ。
もっとイポーにいればよかったと今更ながら後悔してる。見どころはあったし、美味しいごはんだって沢山あったはずだ。
そして街並みも私好みだったから。
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