100万ドルの上海の夜景。私の価値は何ドルだろうか。
朝起きると、アイルランド人の子がいなくなっていた。
そして中国人の子はというと、いそいそと荷物をまとめる支度をしていた。
「私は今日家に帰るの!」と中国人のコウちゃんがいう。
話を聞くと、アイルランド人はチェックアウトしていったらしい。
コウちゃんは、上海に暮らしている女子大生だ。
家が上海なのに、上海のユースホステルに泊まる理由は、
英語の勉強を兼ねて外国人と交流したいかららしい。
そんな彼女の英語力はなかなかのものだった。
頻繁にこのユースホステルに来て、ルームメイトに毎回上海の町案内をしているらしい。
これはお互いにWIN-WINだ。
あ~一日早く来ればよかったと後悔。
現地のひとに町案内してもらうとか最高でしょ。
彼女は中国のいろんな地域のユースホステルに泊まったことがあり、
おすすめの地方都市を結構教えてもらった。
正直行く予定はないが、現地の人からこういう話を聞くと無性に行きたくなる。
中国は上海以外には滞在する予定はなかったが、どうしようか今になって迷う。
コウちゃんが出て行った後、すぐに誰かが入ってきた。
見た目50後半の初老のおばさん。
私は自分からから声をかけた
私『ニーハオー』
おばさん『え!?日本人!?』
私『うわあああ!びっくりした!日本人ですよ!!なんでわかったんですか?』
中国人だと思ってたら、日本人だった。今年一番びっくりしたできごとだ。
「顔が日本人だもの!」とおばさん。
顔なんて中国人も日本人も変わらないと思うのは私だけだろうか。
名前は和田さん(仮名)というらしい。
OLの旅行者だという。
今回が初めての海外一人旅だそうで、いろいろ話した。
仲良く話していただいて、大変有意義であった。
和田さん「へぇー世界一周とはすごいねぇ。気を付けてねぇ。 ところであなたは日本で何をしていたの?」
もちろん 元嬢とは答えるわけがない。
この質問へはの答えは、何年も前から同じ回答なので躓かない。
いつも通り、少しだけやっていた昼職の仕事を答えたのだった。
しかし、私は人付き合いの始めにおいての、絶対に避けることができないこの会話により、毎回恐ろしく気分が萎えてしまうのだ。
嘘をついた罪悪感ではない。
嘘をついたことにより、仲良くになれそうだった他人に、自ら心を閉ざしてしまう何とも言えない感覚に陥る。
和田さんは気にも留めずに話しを続ける。
本当に話しやすくていい人。
その後和田さんと、近くの小籠包の食堂へ。
10個入りで400円ぐらい。やっぱり上海は噂通り物価が高い。
二人で三皿も食べた。
それぐらい美味しかった。
世間では中国産のイメージは最低で、私も中国産は辟易していたのだが、実際に中国に来るとそんなものはどうでもよくなる。
これも旅行マジックの一つだろうか。
食べ終わった後も上海観光。
中心部はさらに大都会だ。ビルの高さが違うのよ。
これ、ひょっとすると日本の首都東京よりも大都会なんじゃないかな。
町は汚いイメージだったけど、上海は違う。
超きれいでセンスしか感じない。ただし、耐震強度は考えてないだろうけど。
その後、雨が降ってきたのスタバにて休憩。
このとき、中国のネット規制について和田さんと語った。
VPNというサービスを使えば問題なくネットは使えるのだが、どうしてもネットのスピードが悪い。
「日本と似ているのに、政府による規制があったり、なんか不思議な感覚ですね」。
雨が止んだら、もうすでに夜になっていた。
私たちは、外灘に向かった。
そう、ここは中国一の夜景が見れるスポット。
超高層ビルが作り出す夜景は感動もの。私が一番行きたかったところだ。
確かに本当にきれいだった。周りの中国人は自撮りばっかりしていたけども。
100万ドルの夜景ってもしかしてこのことなのかと、和田さんと話した。
このとき、和田さんは外灘をキーワードに何かよくわからないダジャレを言っていたが、忘れてしまった。。。
とにかく外灘は忘れられない夜景ランキング一位だった。
また明日も行こうと一人で決心した。夜景が誰よりも大好きなのだ。
宿に戻る途中で、また小籠包を食べる。しかもまた同じ店だ。
今度は4皿食べた。店員も若干引いていたかもしれない。
でも、これがめちゃくちゃウマいからしょうがないんだなぁ。
宿に戻ると、和田さんは部屋に戻り、私はというとロビーでWi-Fiをつなぎ、ネットサーフィン。
ロビーには一人の欧米人男性がいた。
チャンスだと思って、チラチラ見たが何も起こらず。
さすがに逆ナンして営業する勇気は私にはなかった
もう若くはない。女としての価値は間違いなく日に日に落ちていってる。
過ぎてゆく毎日が、ただただひたすら怖い近頃。
私の身体の価値は、海外ではいま何ドルなんだろう?
私は外灘の100万ドルの夜景を思い出していた。
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